管理人おすすめ




エイラ「へぇ……そうなのかー」  芳佳「むぅ……」

SW_miyahuji_40.jpg
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:07:08.10 ID:i0aSTaTCo

    芳佳「っていう感じでね、酷いんだよ。エイラさん」


    私はつい先程の出来事をリーネちゃんに話し、意見を求めていた

    意見を求めるといっても、答えは既に出ていた


    リーネ「そ、そっか……ほかに考え事してたんじゃないかな?」


    だからかな?

    リーネちゃんはそう言って私から目をそらしてしまった

    私が嫌いか、私に興味がないかの2つに1つどちらにしても嫌いなことに変わりはない

    けれど、相談しておいてそんなネガティブなことも言えず、

    私は小さく笑った


    芳佳「そうなのかなぁ……?」


    リーネ「きっとそうだよ、うん。気にすることないよ」

    リーネちゃんは励まそうとそう言って笑顔になったけれど、

    リーネちゃんももう相談されるのは嫌なのかもしれない

    時々暗い顔をするのは多分。そういう理由だ


    リーネ「芳佳ちゃん少し休んだら?」


    話を切りたいのか、リーネちゃんは思い出したようにそう言った


    芳佳「うん……でも」


    それよりもするべきことがあるのに、


    リーネ「サーニャちゃんとの夜間哨戒明けなのに寝てないでしょ?」

    リーネちゃんはそう言って寝ることをやや強引に薦めてきた




2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:09:10.51 ID:i0aSTaTCo

    芳佳「うん、でも」


    思わずもう一度繰り返すと、

    リーネちゃんは困った表情で私の肩を掴んだ


    リーネ「同じ言葉を繰り返すのは疲れてる証拠だよ」

    芳佳「うん、ごめんね」


    リーネちゃんに迷惑かけて。相談なんてされたくないよね

    そう心の中でつぶやき、

    リーネちゃんに従ってベッドへと潜り込んだ


3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:10:05.68 ID:i0aSTaTCo

    全く眠くはなかった

    それでも私はリーネちゃんのためにもぎゅっと目をつぶって寝ようとしたけれど、

    エイラさんのことが気になって眠れはせず、

    やむなく寝たふりをすることにした


    リーネ「よしっ」


    リーネちゃんに背中を向けているせいでその声しか聞こえないのに、

    なんとなく喜んでるんだろうなぁ。と嫌な想像をしてしまった


    芳佳「すぅ……すぅ……」

    リーネ「……………」


4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:11:58.14 ID:i0aSTaTCo

    リーネちゃんが部屋を出て言ってから、

    私はエイラさんのことを考えていた

    エイラさんが私を避けているのは間違いなくあの日のあの事のせいで、

    それは紛れもなく私が悪いことだった


    芳佳「あれのせいだよね……」


    まだ私達が3人で夜間哨戒にあたっていたとき、

    偶然、サーニャちゃんが体調を崩してこれなくて、

    私とエイラさんの二人きりになった時だった


5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:13:12.91 ID:i0aSTaTCo

    始めの方は普通だった。でも、

    サーニャちゃんがいないことでエイラさんはいつもよりも自由に旋回したりして、

    そんなエイラさんは月明かりに照らされながら、

    白い髪を優雅に靡かせていて、それが輝いて見えて、私は思わず思っていたことを口に出してしまった


    芳佳「エイラさんって綺麗ですよね」

    エイラ「えっ?」


    あぁ、ダメだよ。駄目。エイラさんが驚いてるのに……


    芳佳「夜景はきれいだけど、それもただの背景にしちゃうような綺麗さがあるというか……」


    何言ってるんだろう、なんで言っちゃうんだろう


6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:13:43.36 ID:i0aSTaTCo

    ダメだと私は思っているのに、一度決めた心は止まらず言葉を紡いでいってしまう


    エイラ「な、何言ってるんだよ宮藤ー!」


    本当に何言ってるんだろう。

    私から体半分ほど抜き出て先行するエイラさんの表情は見えず、

    みようとも思えなかった。見てしまったらだめだと思ったから。

    なのに。


    芳佳「でも、エイラさんってかわいいところもあるんですよね」


    言葉に関しては私はもう私にも止められなかった


    エイラ「はぁっ!?」


    大声を上げたエイラさんの声を聞いて、あぁ、失敗しちゃったな。と思いながらも、


    芳佳「え?」


    私の方を振り向いたエイラさんの顔が赤いことに気づき、声を漏らしてしまった


7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:15:07.52 ID:i0aSTaTCo

    エイラ「えっ? じゃなくテ……あーもうわけわからないゾ!」


    そう言い、エイラさんはまた正面を向いてしまったけれど、

    顔が赤いと解っているせいか、

    髪が靡いて時折見える耳まで赤くなっていて、かなり恥ずかしそうにしているのが解った

    そして唐突にエイラさんは聞いてきた


    エイラ「そ、そんなこと言って……私のこと好きなのカ?」


    それなのに、私は何の迷いもなく、

    エイラさんの言葉から間を開けることなく、




    芳佳「好きですよ」




    言ってしまった。言えてしまった。


8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:16:52.46 ID:i0aSTaTCo

    そんな複雑な心境の中、


    エイラ「そ、そう……ソウカ……」


    エイラさんは普段の声とは違う沈んだ声でそう呟き、

    その日はそれから一言も喋ったりはしてくれなかった

    それからというもの、二人きりになると適当に返したりするだけですぐにいなくなってしまう

    サーニャちゃんばかりに構っているのが羨ましくて、見て欲しかっただけなのに……

    なのに、結果は望みとは逆に見てもらえなくなったし、構って貰えなくなってしまった


    芳佳「本当はリーネちゃんに言うようなことじゃないんだけど……」


    そうわかってはいる。

    それでも、自分だけではどうしようもない気がして、私はリーネちゃんに相談していた


9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 01:17:43.77 ID:i0aSTaTCo

    芳佳「もうやめ――」


    言葉を遮ってノックが聞こえ、慌てて寝たフリをすると、


    リーネ「芳佳ちゃん。寝てる……?」


    リーネちゃんが部屋に入ってきた


    芳佳「っ……」

    リーネ「芳佳ちゃん」


    寝てるか確認してるのか、

    さっと髪を撫でるリーネちゃんの悲しそうな声が聞こえて、

    起きたふりをしようとした時だった





    リーネ「……エイラさん、芳佳ちゃんの事嫌いだって」





    えっ? と心の中で呟いた

    声に出したくもあった。でも、寝ているからこそ教えてくれるのかもしれない

    そう思うと、起き上がり嘆くような真似はできなかった


    リーネ「芳佳ちゃんが辛そうだったから好きか嫌いか聞いたの……勝手にごめんね?」

    芳佳「…………」


    なんで? どうしてそんなことしたの?

    そう言いそうになって、ぎゅっと唇を噛み締めた


18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 14:12:10.76 ID:i0aSTaTCo

    自分がなんども相談なんかして、毎回辛そうにしていたせいだ

    リーネちゃんが悪いんじゃない私が悪いんだ

    そう自分に言い聞かせていると、リーネちゃんが私の頬撫でた


    リーネ「……寝てるからこんなこと言える。でも、また相談されたらどうしよう
          相談されなくても、芳佳ちゃんとなんて話せばいいか分からないよ」

    芳佳「………………」


    ごめん。と言い、リーネちゃんは部屋を出ていった


    芳佳「……それは私が言わなくちゃいけないことだよね。ごめんね、リーネちゃん」


    熱くなった目頭に耐え兼ねて目を強く閉じると、

    待っていた暗い世界に引き込まれ、私はいつのまにか眠ってしまった


20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 14:35:36.46 ID:i0aSTaTCo


    私が起きた時にはもう夜だった


    芳佳「……もう夜なんだ」


    不思議と体が軽く、気だるさもなかった

    本来なら寝すぎなのに、寝なさすぎを一気に消化したからかもしれない

    そして、私の足は自然とミーナ中佐の部屋に向かっていた

    ノックをすると、ミーナ中佐はドアを開け、

    私を部屋の中に入れてくれた


    ミーナ「どうかしたの?」

    芳佳「あの……お願いがあるんです」


21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 14:37:18.88 ID:i0aSTaTCo

    こんなお願いは受け入れられないかもしれない。

    それでも耐えられなかった


    芳佳「私を夜間哨戒から外して欲しいんです」

    ミーナ「え?」

    芳佳「……エイラさん、私のこと嫌いらしくて」

    ミーナ「それが理由?」

    芳佳「はい」


    ミーナ中佐は困ったようにうなり、

    考え込んでしまった


    ミーナ「ん~……」


    しばらくして、


    ミーナ「解ったわ、宮藤芳佳軍曹。夜間哨戒任務から戻って頂戴」

    芳佳「良いんですか?」

    ミーナ「まぁ、最近は問題ないみたいだし。
         ちょうど二人体制に戻すことを検討していたところなのよ」


22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 15:09:22.46 ID:i0aSTaTCo

    ならなんで困っていたんだろう。

    そう思ったけれど、

    言うと取り下げになりそうな気がして言わずに話を終わらせた


    ミーナ「またお料理お願いね」

    芳佳「はいっ」


    部屋に戻ると、リーネちゃんがちょうど出てきた


    「「あっ……」」


    気不味い。

    そんな私とリーネちゃんは、見合ったまま動けず、

    リーネちゃんが先に口を開いた


    リーネ「芳佳ちゃん、どこ行ってたの?」


    昼間のリーネちゃんの言葉を思い出して、

    言葉に詰まっていると、リーネちゃんは心配そうに首をかしげた


23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 15:52:12.34 ID:i0aSTaTCo

    芳佳「だ、大丈夫。なんでもないよ」

    リーネ「え?」

    芳佳「あ、あのね。夜間哨戒から外して貰ったんだよ
         やっぱり私、夜起きてっていうのは辛くて……」


    私は何故か大丈夫。なんて言って、

    不自然に手を振って、答えを返していた


    リーネ「そっか、じゃぁまた一緒にお料理できるの?」

    芳佳「うんっ、よろしくね」

    リーネ「うん!」


    リーネちゃんは笑顔で頷いて部屋へ戻っていった


    芳佳「……良かったんだよね? これで」


    エイラさんから離れて……本当に


24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 16:24:50.27 ID:i0aSTaTCo

    そんな決断をしてから2日

    なぜか私とエイラさんはバルクホルンさんとシャーリーさんとロマーニャに来ていた

    きた理由は買い出しだけれど、このメンバーの理由が解らない

    リーネちゃんはシャーリーさんの運転がだめで、サーニャちゃんは夜間哨戒後だし、

    ハルトマンさんは自由すぎるし、

    坂本さんは訓練があるし――……割と仕方がない構成なのかな


    バルクホルン「リベリアン、ちょっと付き合え。悪いが、しばらく二人で頼む」

    芳佳「え……?」

    エイラ「どういうことだヨー!」


    本当にどういう事なんだろう


25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/01/19(土) 16:32:33.42 ID:i0aSTaTCo

    バルクホルン「いやぁ、すまん。二人で頼む」

    シャーリー「は、おい、ちょっと」


    バルクホルンさんは強引にシャーリーさんの腕を引いてどこかへと行ってしまった


    芳佳「あ……」

    エイラ「……………」


    気まずい空気になり、


    エイラ「さっさと終わらせるぞー宮藤」


    そういうと、エイラさんはさっさと店の方に向かっていってしまった


    芳佳「……はい」


    やっぱり、嫌なんですね。

    心の中でそう毒づいて私はエイラさんのあとを追った


29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/19(土) 20:53:10.97 ID:i0aSTaTCo


    ミーナ中佐の話ではこのお店で全部揃うという話だったのだけれど、


    エイラ「なぁっ……置いてないだって?」

    芳佳「はい」


    大体のものは揃ったのに、坂本少佐からのお願いの品だけは取り扱っていないらしいく、

    とっても大事で、むしろそれが今回の任務達成条件と言ってもいいため、

    それがなかったからと帰るわけには行かない


    エイラ「あの二人は何してんだよー!」

    芳佳「と、とりあえずお店回った方が……」


30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/19(土) 20:53:59.48 ID:i0aSTaTCo

    バルクホルンさん達を待ってるだけなのは流石にダメだと思ってそう言ったけれど、

    エイラさんと2人でこのままというのは心苦しいものがあり、


    エイラ「ついでに二人もさがさないとなぁ……」


    ついでというよりも優先的に探したかったし、

    一刻も早く見つけて二人きりの状態を脱したいと思っていた


    芳佳「そうですね」


    なのに……


    芳佳「ここにはいないみたいですね」

    エイラ「頼みの品もないナ」


    一向に見つからなかった


31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/19(土) 20:56:23.91 ID:i0aSTaTCo

    それから暫くしてお昼すぎのことだった。

    私たちは相変わらず頼まれものを探して彷徨っていたが、

    ついにエイラさんが文句を言った


    エイラ「そもそも、ルッキーニがいないのがおかしいんダ」


    そんなつもりはないって解っているのに、

    なんだか私が要らないと言われている気がして、


    芳佳「私よりルッキーニちゃんが行くべきでしたよね」


    そんな風に皮肉ぶって呟いて、エイラさんを困らせてしまった


    エイラ「いや、だって行けない理由があったんだロ?」


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/19(土) 21:02:06.51 ID:i0aSTaTCo

    エイラさんが困ったように返してきた


    芳佳「行けたら私なんかよりルッキーニちゃんの方が良かったんですよね」


    最低だ。最低だ、私……

    申し訳なさそうな表情のエイラさんがその罪悪感をより一層増加させ、

    私は俯いてしまった


    エイラ「宮藤……」


    でも、だって、エイラさんは……

    言っちゃダメだってわかっているのに止められなくて、


    芳佳「解ってます、聞きましたから。エイラさん」

    エイラ「……? なにを?」


    そしてもう。止められなくなった


33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/19(土) 21:13:13.18 ID:i0aSTaTCo

    エイラさんは困った表情で首をかしげた

    聞かないでくれれば良かったのに。

    なんて無責任なことを思いながらも、私は答えた。


    芳佳「エイラさん、私のこと嫌いなんですよね」

    エイラ「っ……」


    なんで知ってるのって表情でエイラさんは黙ったままで


    芳佳「なんで逃げてくれないんですか? 適当にあしらってくれないんですか?」


    いつもなら避けてるのに、なんでこんな時だけって私はエイラさんを睨んだ


    エイラ「……………」


    それでもエイラさんは黙ったままで、

    私はもう耐え切れなくなっていた


34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/19(土) 21:15:56.72 ID:i0aSTaTCo

    芳佳「――もう、エイラさんなんて嫌いです!」


    そんな気持ちは微塵もないのに、

    好きすぎて壊れてしまいそうなくらいなのに、

    私はそう言って、

    そう言いながら自分で耐えられなくなって、

    そこから逃げてしまった


    エイラ「ま、待てよ宮藤……」


    エイラさんのそんな声が聞こえ、


    芳佳「っ……」

    立ち止まりそうになった足を無理やり動かしてそこから離れた


37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 00:27:37.15 ID:euMMsVRAo

    芳佳「なに、してるのかな……」


    本当に何してるんだろう

    逃げて私はどうするんだろう?

    隊舎に戻るときにまた会わなくちゃいけないのに


    芳佳「せっかく二人きりだったのに……でも……」


    エイラさんは私が嫌いだって言ってた

    なら、

    私がどう思おうとエイラさんにとっては面倒な相手、嫌いな相手でしかない


    芳佳「……嫌な子だ。私」


    本当にそう思う……いっそ誰かにあの人嫌だって大声で叫んで貰いたいくらいに


38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 00:41:16.47 ID:euMMsVRAo

    直接聞いたわけでもない言葉を真に受けて、

    エイラさんにきつくあたって、

    あまつさえ好きと言っておきながら嫌いだなんて言って


    芳佳「私なんて、来なければ……っ」


    首を振ってその先を否定した

    やがて、エイラさんから離れたくて走った私は公園にたどり着いた


    芳佳「はぁっはぁっ」


    疲れきった私は適当なベンチに座って空を見つめると、

    快晴だった空は徐々に傾き、白い雲が太陽を遮り始めていて、

    それが今の自分みたいに思えた


40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 00:49:06.39 ID:euMMsVRAo

    なんで好きになったんだろう

    初めから綺麗な人だなぁって印象があったし、

    可愛いって思える一面もあって、

    優しくて……そうか、

    私はきっと初めから好きで、エイラさんの全てが好きで、

    サーニャちゃんに嫉妬してたんだ。それが抑えきれなくて、

    私、あんなこと言っちゃって……


    芳佳「そんなだから、こんなことになっちゃったんだ」


41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 00:53:41.56 ID:euMMsVRAo

    原因に気づいたところでどうしようもない。

    好きである気持ちを拒絶され、嫌いだと言った以上はもう、

    私にはどうしようもないことだった

    それなら。と、諦めようとしたのに


    エイラ「み、宮藤……」


    息を切らして、エイラさんは私の前に姿を現した


    「……なんですか?」


    汗をかいていて、予知を使わないで必死になってくれたのが解って、

    それなのに、私は冷たくあたって。なのに……


    エイラ「こんなところにいたのカ」


    エイラさんの声は優しかった


42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 00:57:27.46 ID:euMMsVRAo

    そして私の隣に座り、

    大きく息を吸って、呼吸を整えているエイラさんに対して、

    私は気持ちをかき消そうとエイラさんを睨むように見つめた


    芳佳「……どうして探したんですか? 嫌いなのに」


    エイラさんはうつむいたまま2、3回深呼吸すると、

    私の顔を見つめ返してきた

    私みたいな醜い感情のない純粋な瞳で


    エイラ「仲間だし、それに私は一言も嫌いなんて言ってなイ」

    芳佳「え?」


    エイラさんは私の言葉を首を振って否定した


    エイラ「好きとも言ってない。というか、リーネには何も言えなかったんダ」


43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 00:59:59.53 ID:euMMsVRAo

    そう言ってエイラさんは俯いてしまった

    申し訳なさそうな声でそう言うけれど、

    私は嫌いではないっていうだけで少し救われて、でも、

    嫌いって言ってしまったことが深く胸に突き刺さっていた


    芳佳「でも、リーネちゃんが……」

    エイラ「何も言わなかったんダ。そう思われても仕方ないし、否定もしなかっタ」


    それじゃぁやっぱり。と、私は俯いてしまった

    嫌いと言いながら何を期待してるんだろう……

    エイラさんはそんな私のことは気にせず続けた


44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 01:05:02.52 ID:euMMsVRAo

    エイラ「勘違いしたのも解ってた。でも、
         それで宮藤の気持ちが変わってくれればいいって思って否定しなかったし止めなかっタ」


    エイラさんは自嘲気味に笑うと、でも。と言葉を続けた


    エイラ「でもさ、やっぱりダメダナ。面と向かって嫌いって言われると、
         どうしようもなく辛いンダ。嫌いって言われたかったはずなのに、言われてすごく傷ついたんダ」


    驚いてエイラさんを見ると、エイラさんも私を見ていて、視線が合った


    エイラ「身勝手だとは解ってる……でも、嫌いにならないでくれ宮藤」

    芳佳「エイラさん……」


    エイラさんは胸に手を当てていて、

    そのエイラさんの頬を涙が伝って

    キライなんかじゃないって叫びそうになって

    そんな私よりも先に、


    エイラ「私は宮藤のことが好きダ。嫌いになられたくないんダ」


    エイラさんは私を力強く抱きしめてそう言った


51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 12:29:59.26 ID:euMMsVRAo

    芳佳「……嫌いじゃないですよ。好きですよ。私」


    それに応えるように、

    私はエイラさんの細い華奢な体を抱きしめた


    芳佳「大好きです……」

    エイラ「宮藤……」

    芳佳「嫌です、その呼び方じゃ……それじゃ嫌です」


    エイラさんの肩に顔をうずめながらぼそっとつぶやく。

    ここまで来て嫉妬してるなんてダサいなぁと自嘲していると、

    エイラさんの唇が私の耳に触れた


52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 12:53:06.71 ID:euMMsVRAo

    芳佳「エ、エイラさんっ!?


    その柔らかい感触は触れるだけでなく、

    優しく包んできた


    エイラ「……芳佳」

    芳佳「ぁ、ぅ………」

    エイラ「芳佳、芳佳?」

    芳佳「うぅ~っ……」


    自分で頼んでおきながら恥ずかしくて真っ赤になって、

    その顔を見られたくなくて顔を押し付けるとエイラさんの体温がより濃くなっていく


    エイラ「芳佳、どうかしたのカ?」


    どうかしてます、弄らないでください。

    お願いだからアマガミしないでください……


53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 13:03:34.43 ID:euMMsVRAo


    そんな気持ちは露知らず、

    エイラさんは私の名前を呼び、その温い息が私の耳と心を刺激する


    芳佳「っぅ……エイラさんっ」


    私は反撃と言わんばかりにエイラさんの耳に食いついた


    エイラ「なぁっ……よ、芳佳?」

    芳佳「エイラさんがやっ……たから……」

    エイラ「…………」


    喋るためにエイラさんの耳から離れたせいで、

    私達は目が合ってしまった


54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 13:06:12.69 ID:euMMsVRAo

    芳佳「ぁ……」


    紅潮した表情がより素敵だと思って、

    私はその顔を両手で支えるように優しく触れた


    エイラ「ま、待て、待っタ。芳佳!」

    芳佳「……?」


    エイラさんに止められ、周りの景色までようやく視界に映った

    赤かったのは私たちだけじゃなく、

    空までも赤みがかっていた

    さらに公園には、

    さっきまでの私たちと同じような雰囲気の男女の組がいくつもあった


55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 13:26:55.35 ID:euMMsVRAo

    エイラ「と、とりあえず逃げるゾ」

    芳佳「え、あっ、はいぃ」


    エイラさんは私の手を握って走り出し、

    躓きながらもなんとかついて行った


    エイラ「はぁっはぁっ……」

    芳佳「はぁっはぁっはぁっ……げほっけほっ……はぁっはぁっ早すぎですよエイラさん」


    だいぶ離れたところで息を整え、

    私は今ならもう言える気がする。と、言葉を紡いだ


56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 13:29:17.80 ID:euMMsVRAo

    芳佳「私、寂しかったし辛かったんです……
        エイラさんが私に対しては凄く素っ気なくて」

    エイラ「それは仕方ないダロ……」


    だって。と、ジトっとした目で見ながら続けた


    エイラ「芳佳があんなこと言ったから、変に意識するようになっちゃったんだヨ」

    芳佳「やっぱり私が悪かったんですね」

    エイラ「まぁ、ソウダナ」


    そう言われて私は反射的に謝ってしまい、

    エイラさんに笑われてしまった


57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 13:50:48.07 ID:euMMsVRAo

    そして、エイラさんは思い出したように買い出しの話を持ち出した


    エイラ「大尉達も見つからないし、頼まれたものも見つかってないナァ」


    気づけばもう夕方だし、帰投時間はとっくに過ぎていた

    どうしようかと考えていると、不意にエイラさんは私の手を引いた


    芳佳「エイラさん?」

    エイラ「宮藤、どうせ怒られるし少し遊びに行くゾ」

    芳佳「えぇっ」

    エイラ「なんだよぉ、嫌なのカ?」

    芳佳「嫌じゃないですけど、ミーナ中佐が怒るんじゃ……」


63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:22:14.83 ID:euMMsVRAo

    エイラ「私も一緒に罰を受けるんだからいいダロ」


    なんの説得力もないはずなのに、

    私は考える間もなく頷いていて、自分で笑ってしまった


    エイラ「よし、あの店に行こう」

    芳佳「アクセサリーショップですか?」


    アクセサリー……

    思い出してしまうのはサーニャちゃんとの色違いのものばかり

    そう考えると、少しむっとしてしまう


64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:24:05.90 ID:euMMsVRAo

    エイラ「芳佳?」


    私は半ば強引にエイラさんの手を引いて店の中に入った


    芳佳「色々ありますね」

    エイラ「そうだなぁ……ん? 芳佳」

    芳佳「はい?」


    エイラさんの方を向くと、

    ベルトみたいなものを私の首に掲げた


    芳佳「これ……」


65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:24:54.37 ID:euMMsVRAo

    エイラ「首輪」

    芳佳「エ~イ~ラ~さぁん!」

    エイラ「冗談、冗談。こっち」


    エイラさんはそう言って、

    犬を型どった小さいプレートつきのネックレスを手渡してきた


    エイラ「芳佳は犬みたいだからナ」

    芳佳「犬って……まぁ、犬ですけど……」


    確かに私の魔法使用で発現する尻尾と耳は犬で、否定はできない


66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:26:55.39 ID:euMMsVRAo

    それなら、と。私は、

    猫を型どった小さいプレートつきのネックレスを手に取り、エイラさんに渡した


    芳佳「エイラさんは猫ですっ」

    エイラ「ソウダナ、猫と犬ダナ」


    エイラさんがそう言って笑みを浮かべた


    芳佳「っ!」

    エイラ「ん?」

    芳佳「こ、こっち見ちゃダメです!」


67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:29:43.84 ID:euMMsVRAo

    さっきの公園の光景と、しようとした行為が頭に浮かんで、

    私は慌てて適当な方向に首を曲げた


    エイラ「なんダァ? 芳佳。照れてるのカ?」

    芳佳「だ、だってさっき……その……えっと」

    エイラ「ん~?」


    言えるわけがない

    頭の中でエイラさんにキスしたなんて


    芳佳「と、とりあえず買いましょう」


    そう言って、私は急いで会計に向かった


68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:32:38.61 ID:euMMsVRAo

    エイラ「私も出すゾ、奢らせないからナ」

    芳佳「良いですよ、そんな」

    エイラ「ダーメーダー 私も出す」


    しばらくそんなくだらない理由で言い争い、


    芳佳「じゃ、じゃぁ私こっち買います」

    エイラ「ん~、わかッタ。しかたないナァ」


    店員のため息に慌てて妥協案に落ち着いた


69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 16:34:33.51 ID:euMMsVRAo

    店を出ると、

    ちょうどバルクホルンさん達が横切った


    バルクホルン「宮藤、エイラ。ここにいたのか」

    エイラ「ここにいたか。じゃないゾ! 大尉たちがいないから困ってたンダ」

    シャーリー「その割には、出てきたお店がおかしいんじゃぁないか?」


    そう言ったシャーリーさんは、

    ニヤニヤと笑って私達を交互に見つめた


    エイラ「ぐっ……」

    芳佳「それは……」


    なんの否定もできなくなって、話は切られた


71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 20:00:46.06 ID:euMMsVRAo

    バルクホルン「リベリアン早く帰るぞ。流石に買い出し時間が長すぎる」

    シャーリー「そうだな、2人とも早く乗ってくれ飛ばすぞ」

    バルクホルン「安全運転でいい。どうせ遅刻だ。早遅はもはや意味をなさん」

    シャーリー「へいへい」


    そんな会話を後ろの荷物置き場で聞いていたエイラさんは、

    バルクホルンさん達の後ろ姿を訝しげに見つめていた


    エイラ「オカシイ……」

    芳佳「え?」

    エイラ「仲が良くなってる気がすル」


    それは私達もなんだけどなぁ。そう思いながら、

    私は少し不安だった


72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 20:13:41.22 ID:euMMsVRAo

    芳佳「すごい怒られる……かも」

    エイラ「マァ、その時はその時ダナ。大尉達が勝手にいなくなったのも問題だし」


    そうですね。とは口が裂けても言えず困っていると、

    前からバルクホルンさんの声が飛んできた


    バルクホルン「それもそうかもしれないな、一応便宜は図っておくよ」


    シャーリー「あはははっ、いっそ罪を肩代わりしたらどうだ?」


    シャーリーさんはそう言って笑うと、エンジンをかけた


    バルクホルン「それは困る、ミーナは怒ると怖いからな」


    瞬間、ガクンっと大きく車体が揺れ、

    嫌な予感というか以前感じた感覚を思い出した


    シャーリー「よし、許可が出た。とばすぞー!」

    バルクホルン「なっ、出してな――」


    バルクホルンさんが言い終える前に、

    シャーリーさんはアクセルを踏みこんだ


    芳佳「シャーリーさぁぁぁん!」


    闇に染まりつつある世界に私達の悲鳴が響いた


73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 20:25:36.17 ID:euMMsVRAo

    基地に戻ると、

    なぜか不問に終わり、夕食を終えたあと私はすぐに部屋に戻った

    机の上に置いた黒い箱の中には、

    エイラさんのために買ったネックレスが入っていた

    店を出てすぐバルクホルンさん達に見つかり、

    車の中では胃の中をプレゼントするのを互いに我慢していたので、

    結局渡せずに来ていた


    芳佳「う~ん……は~い?」


    渡しに行こうか悩んでいると、ノックが聞こえ、


    エイラ「入るゾ? 平気カ?」


    エイラさんが入ってきた


74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 20:42:54.37 ID:euMMsVRAo

    芳佳「エイラさんっ」

    エイラ「その、ホラ。交換しそびれてたダロ?」


    ベッドに座っていたエイラさんはそう言って黒い箱を差し出してきたけれど、

    私は受け取らずに、私が渡す方をエイラさんの首にかけた


    エイラ「よ、芳佳?」

    芳佳「お願いします」


    そう言ってエイラさんの隣に座って待っていると、


    エイラ「ゥ~……」


    ちょっと躊躇していたのか、

    3分くらい経ってから私の首にチャラッと音が鳴った


75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 20:46:34.98 ID:euMMsVRAo

    エイラ「は、恥ずかしいナ……こういうことするの」

    芳佳「外で告白しちゃいましたから、私は恥ずかしくないですよ」


    それに、恥ずかしいというよりも嬉しいっていう気持ちが大きいですから

    などとは言えず。私達は黙り込んでしまった

    それでも気まずい雰囲気ではなく、

    あの公園の時のような感じがして、

    私たちの距離は徐々に零になりかけていた

    そして、唇に柔らかい感触が少しだけ伝わり、


    芳佳「ぁ……」

    エイラ「んッ……」


    それは徐々に全体へと広がっていった


76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 21:36:20.76 ID:euMMsVRAo

    芳佳「…………」

    エイラ「…………」


    それは長かったかもしれないし、

    あるいはものすごく短い一瞬の出来事だったかもしれない

    それでも、その感触は離れてもまだ残っていて、

    拭っても、なぞっても、何かに同じ行為をしたとしてもきっと消えない

    そんな重みがあった

    私たちは互いに見つめ合って、小さく笑った


    芳佳「なに、しちゃったんでしょうか」

    エイラ「いわせンナ、恥ずかしいから」


    でもきっと、恥ずかしくても私達はまたキスをする

    私達がお互いに好きであるという証明のように、

    互いに離れたくないという束縛のように、

    束縛はちょっと言いすぎたかもしれない

    つながりというか、絆というか、そういう優しくて温かいもの


77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 21:44:35.82 ID:euMMsVRAo

    芳佳「そういえば、エイラさんは私のどこが好きなんですか?」


    唐突に、でも必然的な質問を私はしていた

    キスより前にしていたらきっと答えてはくれなかった問い

    恥ずかしそうに頬をポリポリとかいて、エイラさんは笑った


    エイラ「……どこか一部じゃなくちゃ、ダメなのカ?」


    それはどこを好きだとかいうのよりもずっとずっと嬉しい


    エイラ「私は芳佳の全部が好きダ。天然なところや、猪突猛進なところのダメな部分も、
         優しいところも、料理上手なところも、小さいところも、優しいところも、可愛いところも、全部」

    芳佳「じゃぁ、いつから好きになってくれたんですか?」

    エイラ「いつだろうナァ……芳佳に好きって言われて気づかされタ」

    エイラさんは少しだけ申し訳なさそうだった


78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 21:45:42.82 ID:euMMsVRAo

    良いですよ。気づいてくれたんですから、好きだと言ってくれたんですから

    私がそういう前に、エイラさんはでも。とくっつけた


    エイラ「きっとずっと前から、私は芳佳が好きだったんダナ」

    芳佳「っ……」


    ずるいですよ。

    ずるいです。サーニャちゃんにはそんな一面見せたりしないのに、

    私にだけ、私にだけそうやってはっきりと言っちゃうなんて。

    でも、


    芳佳「エイラさんのそういうところも大好きですよ」


    私はそう言って、エイラさんをぎゅぅっと抱きしめた


79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/20(日) 21:46:18.49 ID:euMMsVRAo



    翌朝、目を覚ますとエイラさんがいた



    芳佳「えっと……」


    起こそうとしてやっぱり止めた


    芳佳「えへへ」


    その代わりにエイラさんの髪に触れ、頬に触れ、

    またぎゅっと抱きしめた

    もちろん、起こさないように優しく


    芳佳「大好きですよ~」


    エイラさんの匂いがする


84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 06:15:06.91 ID:iC45ulbRo

    そう思って少し離れると、


    エイラ「…………」


    エイラさんと目が合ってしまった


    芳佳「ぇ……」


    起きてたなら好きにさせないでください

    と、心の中で文句を言ってみる


    エイラ「にししっ」

    芳佳「笑わないでくださいよ、もーっ!


    でもこういう関係が嬉しくて、

    私は胸に顔をうずめてぎゅっと腕に力を込めた


85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 06:17:36.72 ID:iC45ulbRo

    エイラ「く、苦しっ……よ、芳佳っ」

    芳佳「罰です。我慢ですよエイラさん」


    明らかにおかしい気がしたけれど、

    エイラさんも私も楽しくてそんなことは関係なかった


    エイラ「まったく……芳佳は甘えん坊ダナ」


    頭を温かい手がなんども撫でて、

    一瞬、お母さんのように感じてしまった


    芳佳「エイラさ――」


    名前を呼ぼうとして、ノックがそれを遮った


86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 06:18:18.43 ID:iC45ulbRo

    リーネ「芳佳ちゃ~ん?」


    そして続いたリーネちゃんの声が私とエイラさんを引き剥がした


    エイラ「ど、どうする芳佳!」

    芳佳「どうもしなくて良いんじゃないですか?」


    ここで隠したら、

    またエイラさんに嫌いだから。なんて嘘をつかなくちゃいけないような気がした


    芳佳「もう、嘘つくのも隠すのも嫌です」


    だから私はエイラさんに抱きついて、

    開いたドアの先、リーネちゃんにその姿を見せた


87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 06:19:05.91 ID:iC45ulbRo

    リーネ「芳佳ちゃ――ん?」

    エイラ「ぁ、リ、リーネ……」


    リーネちゃんとエイラさんは見合って、

    やがてリーネちゃんが私を見つめてきた


    リーネ「そっか」


    リーネちゃんの声は寂しそうで悲しそうで、

    でも、それとは裏腹に笑っていた


    リーネ「仲直り、できたんだ」

    芳佳「リーネちゃん?」


88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 06:19:40.80 ID:iC45ulbRo

    エイラ「あ、あのナ、この前のは」

    リーネ「いいです、ごめんなさい……私が勝手にしたことですから」


    よくわからなくて、私は戸惑っていただけだった


    芳佳「リーネ、ちゃん?」


    でも、なんとなく解っていた。これもきっと私が悪いんだって

    リーネちゃんをあんなに悩ませておきながら、

    苦しませておきながら、

    勝手に自己完結させていたら、誰だって怒る


89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 06:20:19.73 ID:iC45ulbRo

    そんなふうに考えて、

    私はリーネちゃんに頭を下げていた


    芳佳「ごめんね」

    リーネ「っ……、ちゃ……」


    とぎれとぎれの声が私の罪悪感を締め付けて、

    私は思わず泣きそうになっていた


    リーネ「芳佳ちゃんなんて……芳佳ちゃんなんて……」

    芳佳「ごめん」


    どうすればいいかなんてわからないなら、

    ごめんねって謝ればいい。そんな馬鹿みたいに単純な考えだったせいで、



    リーネ「芳佳ちゃんの、馬鹿!」



    リーネちゃんはそう怒鳴って走り去ってしまった



93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 18:54:12.95 ID:iC45ulbRo

    芳佳「リーネちゃん……?」

    エイラ「謝るべきなのは私もダナ……同じナンダ。あの時のサーニャと」


    あの時。

    そう言われて思い浮かぶものはなく、

    それが少し寂しくて俯くと、

    エイラさんは私のベッドから降りて着替えていた


    芳佳「エイラさん?」

    エイラ「行くゾ、芳佳」


    差し出されたエイラさんの手を、私は握った


94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 18:55:58.15 ID:iC45ulbRo

    エイラ「リーネ」


    リーネちゃんは自分の部屋にいるらしく、

    エイラさんがドアを叩くと、来ないでください。と返ってきた

    なのにエイラさんはドアを開け、

    リーネちゃんの方へと歩み寄っていった


    リーネ「来ないでくださいって言ったじゃないですか」

    エイラ「鍵は、閉まってなかったじゃナイカ」

    リーネ「………………」


    押し黙ったままの私たちの空気を、

    エイラさんが打ち破った


95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 18:56:39.99 ID:iC45ulbRo

    エイラ「ごめんナ、リーネ」

    リーネ「……………」

    エイラ「騙すつもりがあったわけじゃナイ。言えなかったンダ
         恥ずかしかったし、なにより……気持ちの整理ができてなかッタ」


    ベッドから立ち上がったリーネちゃんは、

    頭を下げたままのエイラさんの前で立ち止まった


    エイラ「………………」

    リーネ「わかってますよ、そのくらい……」


    そういったリーネちゃんはとても悲しそうだった


96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 18:57:50.09 ID:iC45ulbRo

    リーネ「エイラさんは解ってるんですね……」

    エイラ「サーニャに言われたからナ。エイラの馬鹿! って」


    エイラさんは苦笑すると、

    私の方を見て、またリーネちゃんに向き直った


    エイラ「芳佳もきっと解ってル。でも、扶桑の魔女はアレだから……
          マァ。私も人のことは言えないけどナ」


    アレってなんだろうと考えていると、

    不意にリーネちゃんの笑い声が聞こえた


    リーネ「そうですね、肝心なこと。忘れてました」


97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 20:02:05.68 ID:iC45ulbRo

    自分のことのはずなのにわからないもどかしさを振り払おうと首を振ると、

    エイラさんは私の頭を撫でて、耳元で囁いた


    エイラ「私は芳佳が好きだゾ」

    芳佳「えっ、なっぁ……」


    真っ赤になって、それをリーネちゃんに見られて、

    私は思わず頭を伏せた

    なんでそんなことを今いうのかとエイラさんを目で追うと、

    その足は外へと向かっていた


98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 20:03:57.12 ID:iC45ulbRo

    扉が開いて、エイラさんの半身が部屋の外へ消え、


    エイラ「それじゃ、芳佳、リーネ。またあとでナ」

    芳佳「え、ちょっと――」


    追いかけようとして腕を掴まれて、


    リーネ「芳佳ちゃん!」


    扉は閉まってしまった


    芳佳「リーネ……ちゃん?」


    なんだか怖かった

    そう思っちゃいけないと思いながら、体は正直にこわばっていた


99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 20:56:50.49 ID:iC45ulbRo

    リーネ「あのね、芳佳ちゃん」


    でも、徐々にその感覚は薄れて、

    逆にどこか懐かしいような感覚を覚えた

    懐かしいと言えるほど遠くない過去。つい最近のこと


    リーネ「私ね……」


    そこでようやく気付いて、

    私はどれだけ酷いことをしたんだろうか。と、拳を握り締め、唇をかんで、俯いた


    リーネ「私、芳佳ちゃんのこと。好きなんだ」


100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 21:00:35.85 ID:iC45ulbRo

    驚くことなんてできない。

    そもそも、返す言葉が見つからない。ごめん。と、

    謝ることが正しいとも思えなくて、私は黙っていた

    あれだけ相談して、仲良くなりたいって話して、

    悩ませて、困らせて、苦しませて、挙句自己完結して、

    その姿を言葉よりも先に見せて……

    残酷すぎる。そう思った



    けれど、リーネちゃんは笑っていた



101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 21:02:18.45 ID:iC45ulbRo

    リーネ「言い出せなかった私が悪いんだよ。芳佳ちゃん」


    私の心の内を理解してそう言って、

    でも、やっぱりごまかすことはできなくて、

    頬を伝った涙を私は拭った。

    その気持ちにはちゃんと返すべきだと思ったから

    返すべき言葉を、私はちゃんと持っていた

    それはリーネちゃんを傷つけるかもしれない。

    でも、誤魔化したり、何も言わないでおくこと以上に酷いことはないから。


    芳佳「ごめんね、リーネちゃん。私、エイラさんが好きなんだ」


    そう言うと、リーネちゃんは微笑んだ


    リーネ「うん、知ってる」


    何をどうすればいいかわからなくて、

    とりあえずリーネちゃんを抱きしめると、

    少しだけこのままでいて。そういったリーネちゃんは泣いてしまった

    そのあと、泣き疲れたリーネちゃんをベッドに寝かせ、私は部屋を出た


103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 23:30:10.41 ID:iC45ulbRo

    エイラ「……芳佳」


    エイラさんがすぐ横の壁に寄りかかっていた


    芳佳「エ、エイラさん。まさかずっと……?」

    エイラ「芳佳だけ怒られるのはあれダロ?」


    そう言われて、ようやくリーネちゃんが部屋を訪ねてきた理由を思い出し、

    恐る恐る食堂の方へと向かった


    芳佳「みんな怒ってるかなぁ……」

    エイラ「たぶんナ」


    もう食堂には集まっていて、

    バルクホルンさんが起こしに行ってくる。と席を立った

    徐々に近づいてくる気配を感じ怯えていると、

    エイラさんが優しく抱きしめてくれた


    エイラ「言ったロ? 私も一緒に怒られてやるッテ」




    エイラさんに手を引かれ、私は食堂へと、入っていった




104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/01/21(月) 23:32:24.84 ID:iC45ulbRo

    変なところで切っちゃってたか……

    一応、エイラ×芳佳はここまで


    この裏でシャーゲル書いてたんだけど終わらなかった


105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/22(火) 00:13:57.36 ID:UmqnGfS2o

    乙良かった
    出来たらそのシャーゲルも頼む!

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/01/23(水) 03:34:07.31 ID:bqV/L8QS0

    乙!こういう組み合わせもいいね




おすすめSS


エイラ「三回まわってわんって言ってミロ」

BPSよろしくまうまうと鳴く犬芳佳とエイラのほのぼのSS、意外な結末におどろきました。芳佳がかわいいです。

エイラ「間違えるハズがないサ」

笑いあり!感動あり!ニパイラ最高!!必見です!!

エイラ「二期だぞ二期!」

レスに対してお題が決まるちょっと珍しいSS、芳佳とエイラのやり取りがおもろいです。シリーズになってますのでよろしくどーぞ!!

エイラ「お前はワタシの後輩だからな!」

エイラは後輩である芳佳に対し、先輩としての威厳をみせられるか?!二人のやり取りが微笑ましいです。

エイラ「リーネはおっきかった」

エイラに恋するリーネがとてもいじらしいです。

この記事へのコメント

-名無しの三等兵 - 2013年02月20日 02:45:13

せつない・・・

-名無しの三等兵 - 2013年02月20日 11:29:55

しかし、いい・・・

-名無し - 2013年02月20日 19:58:11

素晴らしすぎるの一言

-名無しの三等兵 - 2013年02月20日 20:31:17

芳イラの先輩後輩の関係すき

-名無しの三等兵 - 2013年02月21日 22:53:43

素晴らしい!

-名無しの三等兵 - 2013年02月28日 02:47:01

いいね
いいよ

トラックバック

URL :

≪PREVHOMENEXT≫


タグツリー
リンク
最新記事
最新コメント
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

過去記事一覧
SSをランダム表示
      
検索
      
Copyright © ストライク SS All Rights Reserved. blog designed by HiRo