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【艦これ】瑞鶴「彩雲より入電、地点18-90にて艦影6、艦種……全て重巡」

KC_zuikaku_01.jpg
1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[sage]:2014/04/09(水) 02:03:19.66 ID:xLMLdYdi0


    【艦これ】日向「ああ、新しく入る五航戦姉妹か。よろしく頼む」
    【艦これ】日向「もうこれ翔鶴に言わせろよ」

    これらの続編で設定も引継ぎしてます。

    今までは一気に書いて一気に貼っていましたが、今回は随時作りながら貼ります。
    前にも増して意味の無いまったり展開で、ペースは一日少しずつのつもりです。

    前作、前前作を読んでこのスレに到達した方は居たら是非報告下さい超歓迎します。
    よろしくお願いします。



    SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396976599




続きものです!!

関連SS
【艦これ】日向「あー、暇だな」
【艦これ】長月「私の名は長月」
【艦これ】日向「君は私達に幸せになれ、とよく言う」

【艦これ】瑞鶴(おかしい)

【艦これ】時雨「あ、気が付いた?」
:前回
【艦これ】瑞鶴「彩雲より入電、地点18-90にて艦影6、艦種……全て重巡」
【艦これ】提督「あー、用意した部屋は無駄になったな」
(記事が更新され次第、閲覧できるようになります!)


ボリューム満点のSSでしたので、見やすくするため
わけて掲載させて頂きました。
作者様、スレタイ改変等、勝手なことをして申し訳ございません。
ご意見いただければすぐに修正させていただきます。
それでは本編をどーぞ【管理人】





416 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:28:06.65 ID:ovd9q8bw0





    瑞鶴「彩雲より入電、地点18-90にて艦影6、艦種……全て重巡」

    日向「本土近海なのに馬鹿みたいな編成だな」

    長月「ああ……手強い」

    木曾「あいつらの拠点はハワイだろ? 羅針盤の力にも負けず、遠路遥々よくもまぁ」

    三隈「逆に褒めて差し上げたい位ですわ」

    瑞鶴「北北東に40ノットで移動中、直線上にあるのは……東京湾です」

    翔鶴「確かにこれは、遠征艦隊の手には余る相手です」

    日向「首都行きか」


417 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:29:36.15 ID:ovd9q8bw0

    木曾「大体、第四管区はおかしいんだよ!」

    長月「まーた始まった」

    木曾「担当海域の面積同じだから平等、なんてこたぁねぇ」

    木曾「首都防衛圏で見ると俺達の負担が大きいじゃないか!」

    日向「期待されているんだよ、私達は」

    長月「何の為に正規空母が二隻も配置されてると思ってる」

    木曾「戦うのは別に良い、俺の仕事だからな」

    木曾「でも理不尽なのは我慢ならねぇ!!!」


418 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:30:15.61 ID:ovd9q8bw0

    瑞鶴「仕方ないですよ木曾さん」

    翔鶴「提督の政治的な立場は弱いのですから」

    瑞鶴「そゆことー」

    木曾「……言っても仕方ないか」

    長月「いつもこの結論に至るんだよな」


419 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:31:05.09 ID:ovd9q8bw0

    日向「どうする? 見逃して次の第三管区の連中に相手をさせるか?」

    長月「冗談か?」

    木曾「別に、戦い自体は嫌いじゃねぇよ」

    三隈「クマリンコ!」

    瑞鶴「一回でも逃せば総司令部の連中が黙ってない」

    翔鶴「提督と一緒に居るためには……」

    日向「戦うしかない、な」


420 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:31:37.79 ID:ovd9q8bw0

    翔鶴「攻撃隊、全機発艦」

    瑞鶴「攻撃隊、発艦!」

    日向「頼んだぞ、重巡は小さな戦艦だからな」

    木曾「出来る限り減らしてくれよな」

    長月「よーしお前ら! 艤装駆動、通話装置のチェックしろ!

    長月「砲戦になると声が完全に届かないからなー」

    三隈「了解ですわ!」


421 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:33:57.25 ID:ovd9q8bwo

    日向「あー、あー」

    日向「よし」ピッ

    日向「あー、第四管区司令部、聞こえるか」

    オペレーター「はい、こちら第四管区司令部」

    日向「こちら出撃班、旗艦日向、現在位置は第四管区22-73」

    日向「島嶼防衛隊からの通報に該当すると思われる敵艦隊を瑞鶴偵察機が発見した」

    日向「敵艦隊の現在位置は第四管区18-90、北西に向かって40ノットで移動中」

    日向「艦種は通報通り重巡六隻」

    日向「これより迎撃に移る。民間船に警報を出してくれ」

    オペレーター「司令部了解」

    日向「ありがとう。よろしく頼むぞ」


422 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:34:48.93 ID:ovd9q8bwo

    日向「どうだ、問題無いか」

    長月「お前以外、チェック完了だ」

    日向「……五秒待て」

    日向「……」カチャカチャ

    日向「問題無い」

    日向「行くぞ!!!」


423 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:35:41.54 ID:ovd9q8bwo

    日向「第二戦速、こちらも40ノットだ」

    日向「予想される進路に先回りして敵の頭を抑える」

    日向「五航戦、随時報告を頼む」

    翔鶴「了解!」

    日向「遭遇したら瑞鶴、翔鶴は後方で待機、飛行甲板をやられるな」

    日向「孤立しないように着いて来いよ」

    日向「残りは砲雷撃戦に突入だ!」


    「「「「「了解!!」」」」」


424 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:37:30.04 ID:ovd9q8bwo



    ~~~~~~~~~~



    瑞鶴「偵察の彩雲より引き続き入電、敵、進路変わらず」

    翔鶴「あと五分で攻撃隊が敵と接触します」

    日向「進路計算……よし、18-50で迎え撃つぞ。引き続き第二戦速を維持せよ」

    長月「了解!」

    日向「あー、第四管区司令部、聞こえるか」


    海戦は変わった

    二次大戦において海戦の主役は巨大な戦艦から航空機へと移った

    ミサイル兵器とその発達は

    戦う相手との距離を次第に離し、科学の目でしか相手を捉えられない状況下での戦いに移行する

    かと思われた


425 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:38:38.63 ID:ovd9q8bwo


    深海棲艦は人類の従来の海上戦闘の常識を覆す存在だった

    超小型、高速、高火力、加えて人類側の攻撃兵器は全く有効打足り得ない事実

    故人をして、太平洋の海軍は三日で死滅した……とまで言わしめた

    そんな中、妖精側からの技術給与により対抗兵器として艦娘が生まれる


426 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:40:23.55 ID:ovd9q8bwo



    ~~~~~~~~~~



    「攻撃隊から入電が来ました! 敵二隻撃沈、一隻小破、我損害二十余! 制空権確保!」

    「良くやった! 回収して第二次攻撃隊の発艦準備だ」

    「了解です!」

    「ん! 敵艦見ゆ! 十時の方向!」

    「良く見つけたちびっ子! 雷撃行くぜ!」


    魚雷も我々の知る通常の物でない

    水中で一本につき64本の子魚雷を放出し、若干ではあるが追尾機能と一部は近接信管を備えている


427 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:41:46.36 ID:ovd9q8bwo

    「よっしゃぁ! 一隻撃沈!」

    「いいぞ! 流石、重雷装艦の名は伊達じゃないな」

    「流石だ魚雷馬鹿!」

    「当ったり前よ! 後は任せたぜ、お二人さん」

    「……ああ……待ちに待った砲撃戦だ」

    「クマリンコ!」


    艦娘

    戦闘における彼女たちの役割は敵に有効打を加えうる艤装の火器管制と、海におけるそのプラットフォームになる事である

    小型、高速の敵に対して従来の軍艦のような大型プラットフォームは無用の長物となった

    妖精側から未だに遠距離無線誘導兵器の技術は開示されておらず、

    資源問題や連戦障害を抱え、夜戦不可の航空機に比べ、砲雷撃は安定して敵を倒す最良の手段といえる


428 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:42:12.46 ID:ovd9q8bwo


    敵の出した難題への一つの答え、砲撃を追求した完成形こそが、

    敵と同様に小型で、より超高火力、より超重装甲の存在


    「主砲一斉射……てぇ!!!!!


    戦艦である


429 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:44:00.26 ID:ovd9q8bwo


    大型艦同士の砲撃戦は、今や壮大かつ厳粛な物では無い

    両者とも海をまるでスケートリンクに見立て縦横無尽に走り回るため、

    予測計算、弾道計算された射撃は精密射撃足り得ない

    例え直撃しても、遠距離もしくは当たり所が悪ければ、異常に分厚い装甲を貫く攻撃足り得ない


    その為、厚い装甲を持つ敵艦に対しては、彼らの匂いが感じられる程に肉薄し


    「ガゥゥゥアァァァァァァ!!!!!!!」

    「はぁぁぁぁああああ!!!!!」


    時には組み合い殴り合い、どちらかが動かなくなるまで殺し合う


    「クマァァァアアアア!!!!!」

    「ギィィィィィ!!!!!!!!」


430 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:45:02.47 ID:ovd9q8bwo


    人の科学が、歴史が、徐々に遠ざけてきた敵との距離は、特殊な状況下でゼロになる


    「ガギォィィィイ!!!」

    「ぐぅうぅぅぅ!!!!!!」

    「いったいなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

    「お前がぁぁぁぁぁぁくたばれぇぇぇぇえ!!!!!」

    「グゲッ!? ガッ……ガァァァァ!?」

    「一隻撃沈!!!! 次だぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!!!!!」


    四散した敵の体液が顔にかかる

    死に悶える敵の顔が脳裏から離れない

    姿形が自分と似ていて本当に腹が立つ

    今の敵に言葉は通じないが、砲撃戦の時であれば意思は通じる

    この時間はそんな時間

    分かっていても狂わずにはいられない

    叫ばずには恐怖を殺しきれない


    「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」


    残酷な、私達の時間


431 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:46:26.98 ID:ovd9q8bwo



    ~~~~~~~~~~



    総司令部長「今連絡が入りました……近海まで進出してきた敵艦隊は、日向艦隊が撃滅したようです」

    総理大臣「そうか、良くやってくれた」

    海軍大臣「またあの艦隊か、よく名前が出てくるものだ」

    総司令部長「下っ端の第四管区だからな。汚れ役は目立つんだよ」

    戦略資源管理省大臣(戦資大臣)「はははっ! 違いない!」

    艦政本部長「日向艦隊の提督はとんでもない変態らしいですね」

    総理大臣「そうなのか」

    総司令部長「艦娘を自分の女だと公言しているそうだ」

    戦資大臣「おっ! 私もその噂は聞いたことがあるぞ!」


432 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:47:44.89 ID:ovd9q8bwo

    山内「皆さん」

    山内「ここ一か月ほど、日本近海への深海棲艦進出頻度が異常に上昇しています」

    山内「今日の会議も、その状況に対応するための会議の筈です」

    山内「そんな中、今日も重巡六隻が侵入し、首都防衛圏内で撃退された」

    戦資大臣「何も問題は無いじゃないか」

    総司令部長「そんな事を心配していたのか?」

    山内「……本当におめでたい人達だ」

    海軍大臣「なにぃ!?」


433 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:49:06.95 ID:ovd9q8bwo

    総司令部長「……若造、元老様のお気に入りだからと言って、調子に乗るなよ」

    戦資大臣「もう二次大戦の頃とは違う!! 聨合艦隊なぞ最早お飾りに過ぎん!」

    戦資大臣「この前のハワイ攻勢も失敗! 大失敗!」

    戦資大臣「どうしてもと頼まれたから、私が必死になって他方面に働きかけてやったのに!」

    戦資大臣「貴重な資源をバカバカ使いおって! 平時何年分の資源が無駄になったか!!」

    戦資大臣「今日の本土防衛対策会議に何故お前が出席しているか理解出来ん!」


434 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:50:10.59 ID:ovd9q8bwo

    山内「私はハワイ攻勢に反対でした」

    戦資大臣「そんな言い訳が通るかぁ!!! 今はお前が聨合艦隊長官だろうがぁ!!!

    山内「……」

    総理大臣「まぁまぁ、君達、落ち着きたまえ」

    総理大臣「長官は一体何を恐れているのかね」

    山内「本土近海にも敵艦隊が来る事はありました」

    山内「それは最高でも水雷戦隊を基本とした弱小艦隊ばかりでした」

    山内「ですが、ここ一か月ほどは大型艦が多数含まれた有力な艦隊が襲来しています」


435 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:50:48.86 ID:ovd9q8bwo

    山内「第四管区では今まで弱小な敵に二線級の遠征艦隊で対応して来ました」

    山内「弱小で無い敵には本隊を当てるしかありません」

    山内「本隊には他に日々の任務が課されています。現状では負担が大きすぎます」

    山内「首都防衛圏は絵に描いた餅です」


436 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:51:34.75 ID:ovd9q8bwo

    総司令部長「負担が大きいからこそ、戦艦一隻と虎の子の正規空母を二隻配備している」

    山内「……それは元老の指示だからでしょう」

    海軍大臣「きさまぁ!!! 軍人の分際で政治家に愚弄するのか!!!」

    山内「……」


437 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:52:09.73 ID:ovd9q8bwo

    総司令部長「先の大戦では貴様ら軍人が暴走したから国民が割を食った」

    海軍大臣「だからこそ、公正な選挙で選ばれた我々政治家が文民統制をしているのだ!」

    戦資大臣「君、自分の立場分かってるのかな?」

    山内「……自分は首都防衛体制の見直しの提言をしているだけであります」

    総理大臣「長官、もういい」

    山内「……」


438 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:53:21.01 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「長官、君は第四管区長の提督と同期だったね?」

    山内「……はい」

    総理大臣「凄いじゃないか、三十半ばで横須賀鎮守府第一管区長兼聨合艦隊長官なんて」

    総理大臣「君も、君の同期も、私が噛みそうな位凄いよ」

    山内「……」

    総理大臣「通常の軍隊なら有り得ない昇進だよ」

    山内「……」


439 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:53:55.13 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「ここは日本だ、普通なら有り得ない国だ」

    総理大臣「この国で軍隊は国民の奴隷なんだ」

    総理大臣「国民から見れば君達は国を、海を守ろうとする英雄だろうね」

    総理大臣「海軍に入ってみて分かっただろう」

    総理大臣「君達は英雄でも何でもないし、自由でもない」

    総理大臣「単なる政治の道具だ」


440 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:54:43.28 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「残念だったね、海軍士官学校は難易度的に東京大学と同じくらい難しい」

    総理大臣「君は士官学校で主席だったんだ、東大に入るくらい訳無かっただろうに」

    総理大臣「君は若き正義感を燃やして、大学生が遊んでいる間にも訓練を重ねた」

    総理大臣「人生の一番幸せな時間を無駄にして頑張った」

    総理大臣「だけどこのザマ」


441 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:55:21.77 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「素直に僕の後輩になって幸せなキャンパスライフを楽しんでいれば」

    総理大臣「ここに居る彼らのポストのどれかに将来居たかもしれないのに」

    総理大臣「どぅふふふふふふ、可哀想だよ」

    総理大臣「元老は京大派閥、東大派閥の私には関係無い」

    総理大臣「第四管区分遣艦隊にはこれからも変わらず働いてもらう」

    総理大臣「ただし、首都が守れなければ責任を取ってくれ」


442 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:55:47.69 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「宮様には流石に手が出せない」

    総理大臣「宮様の艦娘に、でいいかな」

    山内「……」

    総理大臣「それが嫌だったら君達は少し立場を弁えて行動するんだ」

    山内「……」


443 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:56:40.30 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「艦政本部長、研究の方はどうだ」

    艦政本部長「妖精側と粘り強く交渉をしているのですが、彼らは本当に気まぐれでして」

    総理大臣「そちらは期待していない。深海棲艦の研究だよ」

    艦政本部長「ああ、はい、深海棲艦の方ですか」

    艦政本部長「鹵獲した敵の調査は順調に進んでいます」

    艦政本部長「やはりタービンなどの海上での動力源は特定出来ませんでした」


444 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:57:22.59 ID:ovd9q8bwo

    海軍大臣「……やはり装備していないのではないか?」

    総司令部長「ならばどうやって進むのだ」

    海軍大臣「儂が知るか」

    総理大臣「妖精の技術といい敵といい……分からない事が多すぎですよ」

    艦政本部長「ですが、艦娘の深海棲化について詳しいデータが得られました」

    戦資大臣「例の……あれか、穢れと呼ばれるものか」


445 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:58:03.68 ID:ovd9q8bwo

    艦政本部長「はい。感染ルートは視覚からだと判明しました」

    戦資大臣「艦娘に目を瞑って戦うよう徹底させるべきだ」

    海軍大臣「ふははははは!!!!」

    総理大臣「そうしたいのは山々ですが……無理ですよね」

    山内「……」

    艦政本部長「しかし、ルートが判明しただけでも大きな進歩です」

    艦政本部長「対策が講じられます」


446 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 19:58:41.16 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「そうですね、引き続きお願いしますよ」

    総司令部長「艦娘の原因不明の失踪が、深海棲艦化であると聞いた時は驚いた」

    総司令部長「練度の高くなった艦娘が突然消えるのは看過できん」

    総司令部長「ましてやそれが、敵として帰ってくるのだから」

    海軍大臣「何故妖精はこんな不完全な兵器を作るのだ」

    艦政本部長「彼ら曰く、『完全だ』との事です」

    総理大臣「何か深い意味があるのですかねぇ」

    戦資大臣「感覚の違いだろう。あいつらは意味不明だからな」


447 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:00:49.41 ID:ovd9q8bwo

    艦政本部長「穢れの制御実験ですが、未だ成功していません」

    総理大臣「くれぐれも秘匿には注意してくれよ」

    総理大臣「何とかコントロール出来ないものかね」

    艦政本部長「穢れが全身に回ると反射能力や身体機能の向上等は確認出来ています」

    艦政本部長「その他にもデータとして確認できて居ませんが能力の向上が予想されます」

    艦政本部長「詳しい事は更に実験を重ねて順次明らかにし、お伝えします」

    海軍大臣「穢れは良いことづくめじゃないか!」

    艦政本部長「深海棲化した艦娘は狂暴化し、情緒不安定で命令を受け付けません」

    海軍大臣「使い物にならんじゃないか!!」

    総理大臣「……だから改善の為に実験を繰り返しているんです」


448 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:01:28.17 ID:ovd9q8bwo

    山内「……実験に協力した艦娘は」

    山内「実験に協力した艦娘は、実験後に正しく処置され原隊に復帰しているのですか」

    艦政本部長「それなら心配ありません」

    艦政本部長「使う艦娘は倉庫の艦娘です」

    山内「なっ!?」

    山内「妖精との約束を反故にしているのか!!!!!」


449 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:02:56.52 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「反故にはしていないさ」

    総理大臣「約束は『同名艦を重複して利用しない』という事で」

    総理大臣「約束の中の利用は、戦闘での利用という意味だ」

    総理大臣「実験利用は許容範囲内でしょう」

    総理大臣「念のために秘匿していますがね」

    艦政本部長「……穢れに対して非科学な対応が効果的である事は周知の事実です」

    艦政本部長「ですが、現状で完全に深海棲艦化した艦娘を元に戻すことは不可能だ」

    艦政本部長「……殺処分ですよ」


450 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:03:40.43 ID:ovd9q8bwo

    山内「……」

    山内「どいつもこいつも」

    山内「好き勝手に考えて好き勝手な事ばかりしやがって!!!!!!!!」

    総理大臣「落ち着きたまえ」

    総理大臣「君は少し若すぎるよ」

    総理大臣「物事は感情に囚われ短絡的に考えてはいけない。国益の為だ」

    山内「何が殺処分だ!!!! 艦政本部長! お前は軍人だから艦娘と接するだろう!!」

    山内「お前には彼女達が家畜と同じに見えるのか!?」


451 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:04:25.21 ID:ovd9q8bwo

    総理大臣「では君には何に見えているんだ」

    山内「ぐっ……」

    海軍大臣「どうせ一緒に寝て情でも移ったんだろう」

    総司令部長「確かに奴らは、人間の女より具合が良いからな」

    山内「きっさまぁぁあああ!!!!」

    総理大臣「まぁまぁ、落ち着きたまえ……衛兵! 来てくれ!」


452 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:05:17.41 ID:ovd9q8bwo

    山内「国益などと嘯くな!!! お前らは自分の欲望のままに動いてるだけだ!!!」

    総理大臣「山内君は本当に若いなぁ」

    総理大臣「見ていて苛立つよ」

    総理大臣「でも、君の苦しげな表情が見れて私は幸せだ」

    総理大臣「辞めたいのなら長官を辞めてもらって結構」

    総理大臣「もっと私達の考えに共感出来る人物にすげ替えるだけだから」

    総理大臣「ということで、今日の会議はこれにて終了」

    総理大臣「集まってくれて御苦労だった」


453 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:06:32.38 ID:ovd9q8bwo



    ~~~~~~~~~~



    山内「……」

    長門「なんだ提督、帰っていたのか」

    山内「……」

    長門「会議で何か嫌な事でもあったのか」

    山内「……お前には関係ない」

    長門「あるさ、お前は私の指揮官だ」

    山内「……」


454 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:07:44.59 ID:ovd9q8bwo

    山内「お前らは……一体何なんだ……」

    長門「……」

    山内「何なんだよ……」

    長門「……」ギュ

    山内「……?」

    長門「……分からん」

    長門「お前が辛そうだと思ったら……身体が勝手に動いた」

    山内「離れろ!!!!!! 俺に触るな!!!!」バッ

    長門「……すまない」

    山内「出て行け」

    長門「……」


    パタン


    山内「くそっ!!!!」


455 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:08:39.82 ID:ovd9q8bwo



    ~~~~~~~~~~



    第四管区司令部 大浴場 



    日向「あー、よっこらせ」

    瑞鶴「はー、よっこいしょー」

    長月「……増えた」

    木曾「増えたな」

    翔鶴「ふぅ、でもいい湯ですね」

    三隈「クマリンコ……」

    時雨「あ、みんなお帰りなさい」


456 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:09:33.62 ID:ovd9q8bwo

    曙「悪いわねー、いつもなら警備任務の一環として私達が対処するんだけど」

    文月「さすがに駆逐艦四隻で重巡六隻は無理です~」

    漣「最近大型艦の襲撃多いですよね」

    日向「確かになぁ」

    瑞鶴「敵の攻勢かな?」

    翔鶴「本当にそうなら厄介ね」


457 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:10:15.88 ID:ovd9q8bwo

    長月「……今日は済まなかった」

    皐月「どうしたんだ急に」

    長月「私は……今日活躍出来なかった」

    木曾「別にいいじゃねぇか気にすんな」

    木曾「天分ってモンがあるんだよ」

    木曾「駆逐艦のお前なら夜戦と雷撃戦じゃねーか」

    木曾「今日はたまたま、そういう日じゃ無かったんだよ」


458 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:11:51.69 ID:ovd9q8bwo

    日向「木曾、妙に長月に優しいじゃないか」

    木曾「そうかぁ? いつも優しいだろ」

    翔鶴「あはは……」

    瑞鶴「そうですよ! 私達はチームなんですから!」

    瑞鶴「気にしちゃ駄目です長月さん」

    瑞鶴「私達の戦果はチームの戦果、つまり長月さんの戦果でもあるんです」ナデナデ


459 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:13:38.44 ID:ovd9q8bwo

    長月「……瑞鶴……ありがとう」

    時雨「あれ、今日は嫌がらないの?」

    漣「早くいつものキレ芸を見せて下さいよ」

    長月「嫌がるのを様式美みたいに言うな!!」

    長月「……こいつ最近撫でるの上手なんだよ」

    文月「瑞鶴~! 文月にもやって~!」

    瑞鶴「はいどうぞ」ナデナデ


460 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:16:09.23 ID:ovd9q8bwo

    日向「なぁ翔鶴」

    翔鶴「何でしょう」

    日向「瑞鶴は変わったな」

    翔鶴「ええ、彼女はもう立派な大人です」

    日向「いいなぁ。私も大人になりたいものだ」

    翔鶴「日向さんも大人ですよ」

    日向「……そうか?」

    翔鶴「大人は完璧という意味ではないですから」

    日向「言っている事は分かるが妙に腹が立つぞ」


461 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:16:41.16 ID:ovd9q8bwo

    翔鶴「提督と私と日向さんと瑞鶴、本当に不思議な関係ですね」

    日向「木曾も時雨も三隈もさ」

    翔鶴「そうですね」

    日向「将来的には遠征艦隊の連中も加わる」

    翔鶴「そうなんでしょうか」

    日向「私の勘だ」


463 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:18:30.81 ID:ovd9q8bwo

    日向「何も考えていない時、私の心は穏やかだった」

    翔鶴「はい」

    日向「提督のせいで考えるようになって、お前に嫉妬して」

    日向「自分に戸惑ったよ」

    翔鶴「はい、知ってます」

    日向「今はまた穏やかだ」

    日向「穏やかと感じられるまでに成長した、って事かな」

    翔鶴「はい」

    日向「私、お前の事好きだぞ」

    翔鶴「ありがとうございます」


464 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:19:23.16 ID:ovd9q8bwo

    日向「今度ちょっと同衾してみようか」

    翔鶴「……何故そうなるのですか」

    日向「好奇心さ。快楽に戸惑うお前の顔を見てみたい」

    翔鶴「……前から思っていたのですが」

    日向「ん?」

    翔鶴「日向さんは変な所で提督と似ています」

    日向「ははっ!」

    日向「私は航空スケベ戦艦、提督型二番艦の日向だからな」


465 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:20:14.64 ID:ovd9q8bwo

    長月「なぁ日向」

    日向「なんだ」

    長月「ドウキンって何だ」

    日向「……聞かなかったことにしろ」

    長月「そう言われると余計気になる」

    日向「ドウキンについては瑞鶴が専門家だ」

    長月「分かった。聞いてみる」


466 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:20:59.03 ID:ovd9q8bwo

    翔鶴「……航空スケベ戦艦さん。あまり大きな声で喋らないで下さい」

    日向「刺激が強いか?」

    日向「まー瑞鶴が詳しい説明はしないだろう」

    翔鶴「私の予想なのですが、瑞鶴は『長月さんを子ども扱いするのは可哀想』と考えて」

    翔鶴「素直に話してしまうのではないかと……」

    日向「まさかそんな事」


467 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:26:44.46 ID:ovd9q8bwo

    翔鶴「日向さん、ドッグへ行かなくて大丈夫なのですか」

    日向「行くさ。この風呂の後に」

    翔鶴「……お風呂の後にお風呂ですか」

    日向「仲間と入る風呂は格別なんだ」

    日向「と、思えるようになった」

    翔鶴「……そうですか」


468 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:28:12.51 ID:ovd9q8bwo

    木曾「うわっ!!!! 長月が鼻血出しながら失神してるぞ!!!!

    漣「しっかりするです長月!!! 湯船が汚れます!」

    瑞鶴「ごめんなさい長月さん!!」

    瑞鶴「意味を教えるだけで失神するなんて思わなくて……」


469 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/18(金) 20:28:38.41 ID:ovd9q8bwo

    日向「……」

    翔鶴「……」

    日向「……御慧眼」

    翔鶴「……どうも」


478 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:02:17.19 ID:iMcR+myzo





    時雨「提督、お電話です」

    提督「誰からだ」

    時雨「山内様です」

    提督「山内? ……分かった。繋いでくれ」

    時雨「はい」


479 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:03:04.51 ID:iMcR+myzo

    提督「もしもし」

    山内「……俺だ」

    提督「急に電話とはどうした」

    山内「話がある。会いたい」

    提督「……唐突だな」

    山内「今日の夜、お前の司令部に行くが大丈夫か?」

    提督「お前が来てくれるのであれば、構わん」

    山内「では夜に」ブツッ

    提督「切りやがった……」


480 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:03:39.60 ID:iMcR+myzo

    提督「時雨」

    時雨「はい」

    提督「夜に聨合艦隊長官がこの基地を視察に来る」

    提督「形だけ丁重に御出迎えするから艦娘、妖精、人間」

    提督「とにかく司令部の関係者に徹底して伝えとけ」

    提督「念のために寝泊まりする部屋も用意」

    提督「他の上級士官が同行する大掛かりな視察なら、もっと手続きを踏むだろうし……」

    提督「今回は非公式なものだろう。個室三つと、護衛が雑魚寝できる場所程度で良い」

    提督「それ以上はしらん」

    時雨「適当だなぁ……」

    提督「仕方ないだろう。適当な電話だったんだ」


481 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:04:11.28 ID:iMcR+myzo

    提督「食堂のおばちゃんに料理をお願いしたら……怒られるだろうなぁ」

    提督「まぁ仕方ない。こちらも頼む」

    提督「別に派手で無くていいぞ。カレーを多目に作って貰え」

    時雨「長官が来るのにカレーで良いんですか?」

    提督「だからカレーなんだ。長官様に下っ端の悲哀を見せつけてやれ」

    提督「カレーの具が無いってのも面白いな」

    時雨「提督、もう遊んでるでしょ。カレーは却下」


482 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:04:41.85 ID:iMcR+myzo

    提督「山内は友達だからな」

    時雨「電話の山内さんって何者なんだい?」

    提督「今の聨合艦隊長官だよ」

    時雨「うわっ……ごめん、知らずに普通に対応しちゃった」

    提督「お前らは政治に関係無いからな。知らなくても別に良いさ」

    時雨「良くないよ……でも聨合艦隊長官じゃなくて山内さんから、って報告受けたから」

    提督「あいつ、もしかして単に友達として遊びに来るのか……?」

    時雨「電話受けた人にも確認取ってみる。とりあえず準備はするよ?」

    提督「頼む」


483 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:06:00.78 ID:iMcR+myzo



    ~~~~~~~~~~



    ~~~~~~~~~~



    午後七時を少し過ぎ、空は既に暗かった

    山内「……」

    長門「ここが第四管区司令部か、小さいな」

    提督「全員、敬礼!」


    車から降りた山内を第四管区司令部に所属する者達が総出で出迎える

    日向、翔鶴、瑞鶴だけでなく警備任務で出撃している以外の者

    警備を担当する兵隊

    技術者である妖精達

    楽隊は派手に軍艦マーチを鳴らし歓迎の意思を表現している


484 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:06:43.83 ID:iMcR+myzo

    提督「聨合艦隊長官殿、横須賀鎮守府第四管区へようこそ」

    時雨「秘書艦の時雨です。本日は司令部内を私がご案内致します」

    山内「……案内?」

    長門「何を言っているのだ」

    提督「……は?」

    山内「俺はお前と話をしに来ただけだぞ」

    提督「……」


485 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:07:13.93 ID:iMcR+myzo

    提督「……一先ず執務室の応接間へどうぞ」

    時雨「私がご案内します」

    山内「……」スタスタ

    長門「……」スタスタ


486 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:08:34.72 ID:iMcR+myzo

    提督「……」

    日向「……視察じゃないなら私達の仕事は終わりか?」

    提督「皆御苦労! 今日の視察は取りやめになった!」

    提督「皆の歓迎を長官も非常に喜んでおられぞ! 夜勤がある者以外は解散だ!」

    赤帽妖精「なんだー視察じゃないのかー」

    緑帽妖精「でも何か面白かったねー」

    赤帽妖精「ねー」

    青帽妖精「長官喜んでくれたからお給料増えるかな?」

    警備兵「あはは……多分増えないと思いますよ」

    青帽妖精「えー、残念」


487 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:09:33.54 ID:iMcR+myzo

    翔鶴「何か私にもお手伝いできることがありませんか?」

    提督「視察ではないから特に無い筈だ」

    翔鶴「では……私達はこれで失礼します」

    瑞鶴「んじゃお先でーす」

    日向「刀でも研ぐかな」

    提督「……お前らちょっと待て」

    提督「気が変わった。少しやって欲しい事がある」


488 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:10:04.84 ID:iMcR+myzo



    ~~~~~~~~~~



    提督「お待たせしました」

    時雨「提督、遅いですよ」

    山内「……いや、大丈夫だ」

    提督「しかし急な御来訪ですな」

    提督「今日の朝、長官から第四管区へいらっしゃると電話を頂いて……驚きましたよ」

    山内「……普通の喋り方に戻せ」

    提督「助かる」


489 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:10:40.78 ID:iMcR+myzo

    山内「何だったんだアレは」

    提督「……? 出迎えの事か?」

    提督「すまんな、もっと派手にやろうと思ったのだが時間が足りなくて」

    山内「いや、あんな歓迎はせんでいい。過剰だ」

    提督「過剰??? 過小の間違いだろう」

    提督「お前はあの聨合艦隊長官なんだぞ」

    提督「昔一緒に作った仮想戦記の主人公と同じ立場に居るんだ」

    提督「……少し自覚が足りてないんじゃないか?」


490 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:11:06.86 ID:iMcR+myzo

    山内「……」

    山内「……聨合艦隊長官、か」

    提督「やけに自嘲気味だな」

    山内「ちょっとな」

    提督「で、今日の話は何なんだ」

    山内「首都防衛圏の話だ」

    提督「空想の話なら電話で済ませば良かっただろう」

    山内「……お前も空想だと思うか」


491 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:11:54.95 ID:iMcR+myzo

    提督「当たり前だ。あんなもん、政府の国民に対する言い訳でしかない」

    山内「……苦労をかける」

    提督「下っ端だから言われれば働くが……ずっとこのままは好ましくないな」

    山内「その辺を詰めて話したい」

    提督「分かった。ところで飯は食ったか?」


492 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:12:21.86 ID:iMcR+myzo

    山内「いや」

    提督「そうか。では君は?」

    長門「……」

    提督「君は食べたか?」

    長門「……」

    山内「……おい、長門」

    長門「君とは……私に質問しているのか?」

    提督「ああ」

    長門「……いや、まだだが」


493 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:12:57.70 ID:iMcR+myzo

    提督「なら丁度いい」

    提督「飯を食って酒でも飲みながら話そう」

    提督「空想の話を真面目にやっては答えが出ん」

    提督「場を変えよう」


494 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:13:53.68 ID:iMcR+myzo



    飲み部屋



    日向「お、来たな。丁度第一陣が焼けたぞ」

    山内「何だこの部屋は」

    提督「良いだろう。飲み部屋と呼んでいる」

    山内「……お前の話に出てくる秘密の部屋か」

    翔鶴「初めまして。翔鶴型一番艦の翔鶴と申します。以後お見知りおきを」

    瑞鶴「長官、お久しぶりです」

    山内「……初めまして翔鶴君。瑞鶴君、日向君は久しぶりだね」

    日向「はい。お久しぶりです」


495 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:14:44.44 ID:iMcR+myzo

    瑞鶴「あの、そちらの方は……」

    山内「ああ、長門だ」

    長門「……長門だ。よろしく頼む」

    瑞鶴「やっぱり! 演習で見た時と格好が違いますけど長門さんだと思ってました!」

    瑞鶴「その白の軍服、凄くカッコ良いです!」

    長門「そ、そうか?」


496 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:16:45.80 ID:iMcR+myzo

    時雨「じゃあ僕も……お邪魔しま~す」

    提督「お前は帰れ」

    時雨「えぇ~! 僕もお酒飲みたいよ!」

    提督「お前はぜっっったいに駄目だ」

    時雨「ちぇ、なら夜勤でもしとくよ」

    提督「頼んだ」


497 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:18:57.31 ID:iMcR+myzo

    提督「まぁ山内は食って飲め。これは先生が送ってくれた鮎だ」

    山内「ほう……頂戴する」

    山内「……」モグモグ

    山内「美味いな」

    提督「長門も」

    長門「……ありがとう」

    長門「……」モグ

    長門「……美味い」


498 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:19:34.28 ID:iMcR+myzo

    日向「まぁ長官、日本酒もあります。一献どうぞ」

    山内「あ、これはどうも」

    山内「……」グビ

    山内「うまい。鮎と合うな」

    日向「流石は長官。良い飲みっぷりです」


499 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:20:00.48 ID:iMcR+myzo

    翔鶴「私からも一つ」

    山内「どうもどうも」

    山内「……」グビ

    山内「ふむ」

    翔鶴「お見事です」


500 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:20:26.71 ID:iMcR+myzo

    瑞鶴「ま、ま、ま、かけつけ一杯」

    山内「いただくよ」

    山内「……」グビ

    山内「ふう」

    瑞鶴「いよっ! 大統領!


501 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:21:32.62 ID:iMcR+myzo

    提督「俺からも」

    山内「おう」

    山内「……」グビ

    山内「……ふぅ」

    提督「いいじゃないか」


502 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:21:59.54 ID:iMcR+myzo

    日向「中国で客人の杯を乾かすのは無礼に相当するからな」

    山内「いや日向君、ここは日本……」

    日向「いぇいぇ」

    山内「……」グビ

    山内「……うむ」

    日向「やりますね」


503 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:22:25.35 ID:iMcR+myzo

    翔鶴「まぁまぁ」

    山内「……」ゴク

    山内「……くぅぅ」

    翔鶴「素敵です」


504 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:22:56.94 ID:iMcR+myzo

    瑞鶴「あらあら」

    山内「……」ゴク

    山内「……むぅぅ」

    瑞鶴「かっこいい!


505 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:23:23.49 ID:iMcR+myzo

    提督「ほれほれ」

    山内「……」ゴク

    山内「……かぁぁ!!

    提督「長官になると違うなぁ」


506 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:23:49.84 ID:iMcR+myzo

    日向「どれどれ」

    山内「……」ゴク

    山内「……んんん!」

    日向「敵わんなぁ」


507 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:24:30.06 ID:iMcR+myzo



    ~~~~~~~~~~



    山内「だから!! 今の上層部は本当にゴミクズの集まりだ!!!!」

    長門「お、おい……大丈夫か?」

    山内「うるさいっ!!!!

    長門「……っ!」

    山内「お前は黙っていろ!」

    長門「……」


508 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:25:18.25 ID:iMcR+myzo

    提督「なに八つ当たりしてんだ」

    山内「お前には関係ないだろうが!」

    山内「私の艦娘を私がどう扱おうと自由だろう!?」

    提督「知るか。俺の前で乱暴をするな」

    提督「目の前で傷つけられては酒が不味くなる」

    提督「やるなら自分の司令部でやれ」


509 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:26:53.56 ID:iMcR+myzo

    山内「……ちっ」

    長門「……」

    提督「で、そろそろ本題に入ろうか」

    山内「……先日の本土防衛対策会議で首都防衛の話をした」

    山内「私がした」

    山内「現状で第四管区の負担が大きすぎる、絵に描いた餅であると」

    山内「誰一人として俺の意見を聞き入れはしなかった!!!」

    提督「……」


510 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:27:45.24 ID:iMcR+myzo

    山内「何が聨合艦隊長官だ」

    山内「今の日本で私にどれ程の力がある」

    山内「あいつらから見れば、私はハワイ攻勢を失敗に導いた無能だ」

    山内「意味があるのは役職の名称だけなんだ……」

    山内「その名称も今はもう……」

    提督「……辛そうだ」


511 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:28:37.48 ID:iMcR+myzo

    山内「第一管区長だった頃は自信に満ち溢れていた」

    山内「私が日本を変えられると自負していた」

    山内「けれど……長官になった今明確に見えた……」

    山内「自分が大きなシステムの一部に組み込まれていて」

    山内「システムは私の意思と無関係に嫌な方向に動き続ける」

    山内「先生が山に籠った理由が今なら分かる……」


512 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:30:01.14 ID:iMcR+myzo

    提督「お前は本当に強い奴だったんだな」

    山内「……あっ?」

    提督「挫折をしたことが、無かったんだな」

    提督「自分が大きなシステムの一部で、それが自分とは無関係に嫌な方向に動き続ける?」

    提督「そんなもの……多感な中学生、賢い小学生でも知ってる歴史的な事実だ」

    提督「ただ一部に組み込まれる事が嫌で」

    提督「そのシステムの中で、少しでも自分の大切な物を守れるよう俺は、普通の奴らは必死になっているんだ」

    提督「……分かったか馬鹿野郎」


513 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:30:38.40 ID:iMcR+myzo

    提督「どうするんだ」

    提督「お前は今ようやく気付いた」

    提督「強すぎたお前はようやく気付く事が出来た」

    提督「世界はお前の思う通りにはならない」

    提督「ああ、もう、セカイなどと恥ずかしい事を言ってしまった」


514 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:31:05.89 ID:iMcR+myzo

    山内「……」

    山内「私は負けたことが無かった」

    山内「勝ち続けてきた」

    山内「勝って勝って勝って、聨合艦隊長官になった」

    山内「……」

    山内「……お前は」

    山内「お前たちはこんな暗い絶望に耐えて来たのか」


515 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:31:34.69 ID:iMcR+myzo

    提督「個人差はあるがな」

    提督「お前の歳まで考えずに済んだ人間は人類の1%未満だと思うぞ」

    提督「寧ろお前人類じゃないんじゃないか」

    提督「わっはっは」

    提督「で、何の話だっけ」


516 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:32:47.55 ID:iMcR+myzo

    日向「何故彼まで酩酊状態なんだ」ヒソヒソ

    翔鶴「気が付いたらもう」ヒソヒソ

    瑞鶴「酔い潰すのは長官さんだけの予定でしょう?」ヒソヒソ

    日向「ああ。……にしても両者酔っ払いだから会話が成立してないな」ヒソヒソ

    瑞鶴「見苦しいですよね」ヒソヒソ

    翔鶴「……こら」ヒソヒソ


517 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:33:53.35 ID:iMcR+myzo

    山内「会議でお前の話が出ていた」

    提督「俺の? 何故?」グビ

    山内「第四管区長は艦娘を自分の女と公言する変態提督であると」

    提督「」ブッー

    日向「あっはっはっはっは!!!!!

    瑞鶴「提督さん! 凄いじゃないですか!! あはは!!

    翔鶴「……こら……っく! ……そん……ふふっ!!!


518 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:34:31.73 ID:iMcR+myzo

    提督「何故俺がそんないわれも無い称号を受けねばならん!?」

    日向「いや、心当たりがありすぎるだろう」

    瑞鶴「変態ってのは直球過ぎますよね」

    翔鶴「大丈夫です。私達は提督の他の良い所も知っていますよ」

    提督「お前ら、少しは否定しろ」


519 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:35:08.30 ID:iMcR+myzo

    山内「私も否定できなくて話題を変えるしか無かった」

    提督「お前も否定しろよ」

    山内「事実だから仕方ない」

    提督「可愛い艦娘に言われても多少腹が立つのに」

    提督「人間に言われると尚腹が立つんだな」


520 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:37:03.30 ID:iMcR+myzo

    長門「……」

    瑞鶴「ひぃーっ、ひぃーっ面白い」

    瑞鶴「あ、長門さん日本酒飲みます?」

    長門「……瑞鶴」

    瑞鶴「はい? 何ですか?」


521 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:37:50.52 ID:iMcR+myzo

    長門「お前たちは……」

    長門「お前たちは本当に艦娘か?」

    山内「あぁ?」

    瑞鶴「……ええ、艦娘ですよ」

    長門「上手く言えないのだが……異常だ」

    長門「普通の艦娘に見えない」

    長門「見ていて胸がモヤモヤする」

    瑞鶴「まぁ~、そういう認識で良いと思いますよ」


522 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:38:51.21 ID:iMcR+myzo

    日向「変態と異常、お似合いでいいじゃないか」

    翔鶴「ですが確かに……この先転属になった時に困りますよね」

    提督「心配すんな。お前らは俺の苗字に永久就職だ」

    山内「お前苗字無いだろ」

    瑞鶴「……」

    瑞鶴「……ふひっ!!!

    日向「……ッ……ッ……ッッ!!!!!」バンバンバン

    翔鶴「?????」

    長門「……苗字が無いわけないだろう?」


523 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:39:49.54 ID:iMcR+myzo

    瑞鶴「しかも提督さん、上手い事言ったと思ってドヤ顔してましたよね」

    日向「……ッ!!? ……ッッ!!!!」バンバン

    提督「だから今のはケッコンしよう、という意思のな……もういいよ……」

    翔鶴「不束者ですが、よろしくお願い致します」

    提督「あ、これはご丁寧にどうも」


524 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:40:26.31 ID:iMcR+myzo

    長門(全然違う)

    長門(目の前の艦娘とその指揮官の関係は、私と提督のものと全く違う)

    長門(……何だこの感覚は)

    長門(私でなく武蔵がMVPの戦功賞を取った時の感覚)

    長門(……)

    長門(羨ましい)

    長門(私はこいつらを羨ましいと思っているのか?)


525 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:41:19.04 ID:iMcR+myzo

    山内「そんな事より!」

    山内「私は会議で! 首都防衛圏は絵に描いた餅であると言ったんだ!」

    提督「それはさっきも言った」

    山内「まず第四管区の負担が大きすぎる」

    山内「そして残りの管区の戦力が貧弱すぎる」

    山内「第二、第三管区など合わせて二個水雷戦隊しか揃えていない」

    山内「仕事は商業船団の護衛が主だ」

    山内「伝統と誇りある第一管区にも戦艦は長門しかいない!」

    山内「ぬぅあ~~~にが栄光の横須賀鎮守府だ」


526 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:42:13.24 ID:iMcR+myzo

    提督「……おい、お前は間違っているぞ」

    提督「第一管区と言えば武蔵が居る。重巡も、軽空母だって居るだろう」

    山内「ふん」

    山内「もうアテに出来ん」

    山内「南方に送られるからな」

    提督「……何を言っているんだ?」

    山内「私は聨合艦隊長官だぞ!」

    提督「いや、知っているが……」


527 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:43:14.66 ID:iMcR+myzo

    山内「……南方でも敵侵攻が激しさを増しているのは知っているだろう」

    山内「それを受けて、南方の基地への艦娘増派が閣議決定された」

    山内「妖精の技術は亜細亜において日本が独占状態だ」

    山内「政治家どもは艦娘によるシーレーン防衛を政治カードとしての利用を考えている」

    山内「表向きは日本の動脈と静脈、つまり輸出入を止めない為の措置と言うさ」


528 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:48:51.14 ID:iMcR+myzo

    山内「航空機による物資運搬はコスト面で圧倒的に、時に致命的な程に海運に劣る」

    山内「故に日本へ繋がる諸外国のシーレーン防衛は確かに必要だ」

    山内「だが見え透いてんだよ」

    山内「その証拠が今のガダルカナル基地の建設だ」

    山内「オーストラリアまで含めたシーレーンなんぞ守りきれる訳無いだろうに」


529 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:49:17.16 ID:iMcR+myzo

    提督「……待て待て、何だそれは。何基地と言った」

    山内「ガダルカナルだ!!!! あの餓島だよ!!!!!」

    山内「基地同士の距離と、制海の問題を考えた時にあの島に行き当たったんだ!!」

    提督「俺は全く聞いていないぞ」

    山内「当たり前だ!!!! 上層部しか知らん話だ!!!」


530 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:50:55.03 ID:iMcR+myzo

    山内「私だって大反対だ」

    山内「だがもう動いているシステムは止められないんだよ」

    提督「……」

    山内「私に言わせればオーストラリア防衛など不要だ」

    山内「ボーキサイトを確保するために一体何を失うつもりなんだ」

    山内「仮に資源の為に守るにしてもオーストラリア北海岸全般じゃなくていい」

    山内「北海岸の西部だけでいい。港はそれで確保できる」

    山内「まぁ一部だけではオーストラリア政府が納得しないんだろうな」


531 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:51:55.79 ID:iMcR+myzo

    山内「薄汚い政治利用の成果だよ」

    山内「戦況を理解出来ていない政治家が!!!!!!!」

    提督「……お前は何故もっと反対しない」

    山内「もう遅いと言っている」

    山内「基地もほぼ完成して妖精の陸上兵器は揚陸してある、後は艦娘の到着を待つだけだ」

    山内「大体、私が反対したところで発言力が無いから意味も無い」


532 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:52:22.00 ID:iMcR+myzo

    提督「マスコミに流そう」

    提督「基地の本格稼働は絶対に避けるべきだ」

    山内「無駄だ」

    提督「何故だ!?」


533 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:53:53.42 ID:iMcR+myzo

    山内「握り潰されるのがオチだ。仮に潰されなくても」

    山内「海はもう国民にとって縁もゆかりも無い」

    山内「一昔前の宇宙みたいな存在さ」

    山内「みんな国益が大事だ」

    山内「国益の為に艦娘が、つまりロボットや無人兵器が海でいくら消耗されようが興味も無いさ」

    提督「……」


534 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:55:20.85 ID:iMcR+myzo

    山内「宮、お前は聞いたことがあるか」

    山内「世間で海軍の艦艇乗りは底辺職扱いなんだとよ」

    山内「危険な海に出るのは社会不適合者の仕事だそうだ」

    山内「時代は変わったな」

    山内「戦艦の重厚長大な本能をくすぐる感覚は精神病と言われるのかな」

    山内「子供たちが軍艦に憧れる事も無くなって行くんだろうか」

    山内「聨合艦隊の戦いが……単なる前時代の海戦例として扱われる日が来るのだろうか」

    山内「戦って散った英霊の、苦しみや祖国を想う心根が誰にも顧みられなくなるのか」

    山内「……」

    山内「私はそんなのは嫌だ」

    山内「戦ったのは単なる鉄の塊じゃない」

    山内「先人の意思の結晶体だ!! 困難な状況でも生きようとする日本人の決意そのものだ!!!」


535 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:55:51.41 ID:iMcR+myzo

    山内「……」

    山内「それも全部艦娘のせいだ」

    山内「発達しすぎた科学が人から想像力を奪う」

    山内「兵器だけの戦場が戦争から現実感を喪失させる」

    山内「海軍の戦争は変わりすぎた」


536 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:56:44.78 ID:iMcR+myzo

    山内「考えてみれば私だって前線で艦隊の指揮をした経験なぞ無い」

    山内「再建された日本海軍に通常艦艇は小型なものしか残っていないし」

    山内「それも戦闘用というよりも海域間の移動や人命救助が主な仕事だ」

    山内「通常艦艇で戦場へ出たところで深海棲艦に太刀打ちも出来ん」

    山内「先代の聨合艦隊長官の気持ちが今なら少し分かる」

    山内「……陸ばかり見て頭がおかしくなりそうだ」


537 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:57:34.10 ID:iMcR+myzo

    提督「なら重しを抱えて一人で海に沈んでろ」

    山内「……」

    提督「お前は反対しても無駄だったと言ったが……本当か?」

    山内「……」

    提督「まぁいい」

    提督「俺が心配なのは自分の艦娘が無謀な戦闘で失われないか、という点のみだ」

    提督「俺は俺の立場で、下っ端なりに意見を言わせてもらう」

    山内「……」


538 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:59:11.03 ID:iMcR+myzo

    提督「艦娘に八つ当たりするな。艦娘を逆恨みするな」

    提督「人々の認識が変わるのは、時代が変わっていくのだから仕方の無い事だ」

    提督「……俺だって先人の存在を忘れて欲しくないさ」

    提督「だが、艦娘のせいじゃない」

    提督「戦うため生み落された彼女たちに何の罪がある?」

    山内「……」


539 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 19:59:47.07 ID:iMcR+myzo

    提督「あとお前、今日何で長門を連れてきた」

    山内「……護衛だ」

    提督「本当は長門を俺の艦娘と会わせたかったんじゃないか」

    山内「……」

    提督「以前俺がお前の所を訪れた時、長門は居なかった」

    提督「なのに今日は連れてきた」

    提督「何故だ?」


540 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:00:33.64 ID:iMcR+myzo

    山内「気まぐれだよ」

    提督「……へぇ」

    山内「……」

    提督「更に俺が好き勝手に自分の意見を言わせてもらう」

    提督「酔っているからな」

    山内「……」


541 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:02:48.45 ID:iMcR+myzo

    提督「お前は艦娘という存在をどう扱うべきか心の中で揺らいでいる」

    提督「単なる兵器であると思い込もうとしているが出来ないでいる」

    提督「艦娘を嫌いな筈なのに、好きで好きで仕方ない自分が存在している」

    提督「今日の視察も、長門を連れてきたのも、その答えを求めての行為だ」

    提督「自分だけ悩むのが嫌だから、長門にも悩んでもらおうという魂胆だ」

    提督「中々の下衆だな」

    瑞鶴(提督さんも似た様な事してた癖に……)


542 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:03:45.36 ID:iMcR+myzo

    山内「……」

    提督「図星だろう」

    山内「……長門、帰るぞ」

    長門「あ、ああ」

    提督「待てよ」

    山内「邪魔したな」


543 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:05:42.44 ID:iMcR+myzo

    提督「待て待て、客人を手ぶらで帰しては俺も名折れだ」

    提督「偉大なる変態提督のとして助言をくれてやる」

    山内「……」

    提督「一生後悔したくなかったら艦娘を大切にしとけ」

    山内「……終わりか」

    提督「ああ」

    山内「じゃあな」


544 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:06:53.81 ID:iMcR+myzo

    長門(……本当に帰るのか)

    長門「では私もこれで」ペコッ

    翔鶴「お気をつけて」

    瑞鶴「長門さん、またね!」

    日向「じゃあな」

    提督「長門」

    長門「……何だ」

    提督「あいつは馬鹿だが助けてやってくれ」

    提督「俺と同じで、弱ると途端に駄目になるタイプらしいから」


545 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:08:37.42 ID:iMcR+myzo

    長門「……私には何も出来んよ」

    瑞鶴「そんな事ありません」

    長門「?」

    瑞鶴「山内さんと長門さんは、とってもお似合いですから!」

    瑞鶴「長門さんが助けてあげれば、きっと山内さんだって満更でもないです!」

    長門「……そうかな?」

    瑞鶴「そうです!」

    長門「……ありがとう」

    長門「では」


546 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:09:36.32 ID:iMcR+myzo

    長門「……」スタスタ

    山内「……早く来い」

    長門「本当に帰るのか?」

    山内「ああ」

    長門「車はどうするんだ。乗って来たのはもう帰らせたぞ」

    山内「……タクシーでも拾おう」

    長門「そんな片意地を張らずとも……今から第四管区長にお願いすればいいだろう」


547 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:10:23.10 ID:iMcR+myzo

    山内「……断る」

    長門「はぁ……本当に仕方の無い奴だ」

    長門「……」

    長門「なら歩いて帰ろう」

    山内「……我々の司令部まで何キロあると思っている」

    長門「同じ横須賀だ。二時間もあれば着く。夜風に吹かれながら歩くのも悪くないさ」


548 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:11:45.13 ID:iMcR+myzo

    山内「……何言ってんだお前」

    長門「良いだろう? たまには戦艦の大散歩に付き合ってくれ」

    長門「私はお前の士官学校時代の話が聞きたいんだ」

    長門「何せ司令部に着くまで時間はたっぷりあるんだからな」

    山内「……」

    山内「……行くぞ。道は分かるか?」

    長門「分かるさ」

    山内「なら早くしろ」

    長門「……ああ」


549 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:12:14.09 ID:iMcR+myzo

    山内「……」スタスタ

    長門「……」スタスタ

    山内「……」スタスタ

    長門「……」ギュ


550 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:13:04.86 ID:iMcR+myzo

    山内「……何故私の手を握る」

    長門「護衛の為だ」

    山内「触るな!!!!」

    長門「今日は月が出てない。闇夜で提督が道を間違ってはいけない」

    山内「離せ!!!!」

    長門「必要な措置だ」


551 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:13:48.60 ID:iMcR+myzo

    山内「何を言っている!! さっさと離せ!」

    長門「無駄だよ」

    山内「触るなと言っているだろう!!!」


    長門「提督の手はっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

    山内「!?」ビク


552 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:14:54.68 ID:iMcR+myzo

    長門「……提督の手は温かい」

    山内「……は?」

    長門「たまに触れた時、感じていた」

    長門「お前の手は温かい」

    山内「……」


553 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:15:21.50 ID:iMcR+myzo

    長門「私の手はどうだ」

    山内「……」

    山内「……温かい」

    長門「そうなのか」

    長門「そうなのか……」ニコニコ


554 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:15:56.17 ID:iMcR+myzo

    山内「……何を言っているんだ」

    長門「自分でも分からん」

    山内「……」

    長門「お前だって自分の行動に一々理由付けをしている訳では無いだろう」

    山内「……馬鹿な事を」


555 : ◆mZYQsYPte.[sage saga]:2014/04/20(日) 20:17:06.17 ID:iMcR+myzo

    長門「提督」

    山内「……何だ」

    長門「戦艦同士の殴り合いなら私に任せておけ」

    山内「……」

    長門「私はそれが得意だ」

    山内「……知っている」

    長門「なら良いんだ」


    山内「……早く歩け」

    長門「ああ」


次話:【艦これ】提督「あー、用意した部屋は無駄になったな」


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